メダカの水質を表す代表的な指標としてph(ペーハー・ピーエッチ)がありますが、みなさまは、メダカが好きなphをご存じですか?
答えを先に言うとメダカは弱酸性から弱アルカリ性(ph6.5~8)を好むと言われています。
メダカや観賞魚を飼育するうえでphって大切な事なのでしょうか?
今回は、phの説明を中心にその調整方法について解説していきます。
【POINT1】なぜ魚にはphの好みがあるのですか?

phとは水中の水素イオンの濃度を計測した値で、数値によって酸性・中性・アルカリ性と呼び分けられています。
phは理科の実験でもお馴染みですよね。
でも、なんで弱酸性が好きな魚と、弱アルカリ性が好きな魚がいるんでしょうか?
酸性が好きな魚の生息地

自分で撮影できないので写真がなくて申し訳ありません。
インドやアフリカ大陸のドキュメンタリーで見るような、大きくて泥が舞ってる茶色っぽい河川を想像してください。
そう言った河川の水質で多いのが弱酸性です。

ろ材に使う園芸用の赤玉土もそうですが、殆どの土・泥はphを確認すると酸性を示すことが多いです。
ですから、大きくて泥が舞って茶色に染まったような大河川の水質は弱酸性が多いんです。
なので、こういった大河川出身のネオンテトラをはじめとした熱帯魚の大半は弱酸性の水質を好みます。
アルカリ性が好きな魚の生息地

日本で一般に見かける石や岩がゴロゴロの河川を想像してください。
こういった河川は、石や岩・貝殻から溶け出したミネラル分で、水質は弱アルカリ性に傾きやすいです。
だから、岩が多い河川の地域で育った魚は、弱アルカリ性の水質やミネラル分に慣らされているんです。
金魚やメダカ、コイやフナなど日本固有の魚が弱アルカリ性の水質を好むものが多いのは、そういった理由があります。

ただ、僕が調べてみた限りでは、メダカやドジョウなど田んぼと縁がある魚は、畔や田んぼの泥成分による弱酸性に慣れていて適応範囲が広いようです。
その魚が好きなphで飼育することは思いやり

飼育したい魚が好きなphに調整するってことは、その魚が本能的というか遺伝的にに望んでいる飼育環境を整えてあげるってことなんです。
私たち人間も、何の準備もなくいきなり砂漠やジャングルへ移住させられたら、環境に適応できず、病気になってしまいそうですよね?
乾燥したら加湿して、湿度が高いと除湿をして、そうやって環境を整えた方が過ごしやすいですよね。
phを適した値に調整するということは、そういったことなんです。
メダカに健康に生活して貰うための、優しさというか思いやりなんです。
phをキチンと整えることは、魚が本来生まれ育った環境に飼育水を近づけることで、魚を飼育するうえでは基本中の基本なんですよ。
メダカはphの許容範囲が6.5~8と広いのですが、それでもその範囲を超えてしまうと元気をなくしやすいです。


僕も最初そうだったのですが、ph調整を上級者だけがこだわるテクニックと思って油断していたら、魚が健康を害して弱って行きました。
ただ、日本の水道水がほぼ中性(ph7)なので、なんとなく飼育していても大きなトラブルが顕在化せずに飼育で来ている側面はあります。※1
※1殆どの魚が中性(ph7)が適応範囲に入るため
でも、魚の体調面のトラブルを回避して、より元気な姿を見たい場合はphの調整をしっかりお願いいたします。
それに後で書きますが、知らない間に途中でphが変わっちゃうこともあるんです。

ところでメダカの好きなphって

メダカは弱酸性から弱アルカリ性(6.5~8)まで幅広く対応できる魚と言われてます。
でも、僕個人的にはph7以上~8の弱アルカリ性の方が調子が良いように感じています。
それは、屋外で飼育水がグリーンウォーターに変わるとphが8くらいになるので、外飼いのメダカは弱アルカリ性になれていることが多いからだと思っています。

ちなみに先程も書きましたが、日本の水道水はほぼ中性です。
そして、外飼いで赤玉土を入れて飼育すると水質は弱酸性、赤玉などを使わずにグリーンウォーターで飼育すると水質は弱アルカリ性になっています。
僕が訪れたことがある天然のメダカの生息地の池や、飼育容器で綺麗にグリーンウォーターになった飼育水でphを計測すると7.5~8以上の値を示します。

グリーンウォーターのphって意外に高くて、ph8.5以上の値も見たことがあります。
でも、枯葉が溜まった小川や田んぼの畔などは弱酸性を示すので、こういった環境に生息しているメダカやドジョウは弱酸性でも弱アルカリ性でも適応できるようですね。
【POINT2】どうやってphを調整するのですか?

ph調整はとても簡単ですよ!
POINT1でお伝えした弱酸性と弱アルカリ性の河川の風景を思い出してください。
phを整えることは、その魚が生まれ育った環境を再現することとご説明しましたが、まさにそこが答えなんです。
水質を弱酸性にするなら土(ソイル)、弱アルカリ性に誘導するなら石(砂利)を水槽に入れるだけ。
簡単に言うと、その魚が住んでた風景っぽいレイアウトを作ってあげると、自然にphは整うものです。
なぜ、赤玉土に牡蠣殻を混ぜる方がいるのですか?※phショック対策

メダカはphの緩やかな変化には耐性があり、徐々にphを変化させてあげると程度順応してくれます。
先程も書きましたが、メダカの飼育水がグリーンウォーターになると水質は弱アルカリ性に変化します。
では、グリーンウォーター水槽から、赤玉土とクリアウォーターで飼育している水槽にメダカを移動するとどうなるでしょう?
その時メダカは、弱アルカリ性の水から弱酸性の水への急激なph変化を感じるんです。
これをphショックといい、メダカが弱ってしまう原因の一つです。
また、雨は強めの酸性なので、屋外で水槽に雨が大量に降り込むと、水質が酸性に急変します。
これも大きなphショックです。
この辺りの理屈がしっかりわかっている方は、赤玉土に水質を弱アルカリ性に誘導する効果がある牡蠣殻を混ぜて、どんな環境でもphを弱アルカリ性に誘導して安定させていることが多いんです。
ph変化の予備知識

水道から出てきた水は、厳密には弱々アルカリ性で全国平均がph7.3くらいだったと思います。
そこに、ソイル(弱酸性素材)や砂利(弱アルカリ性素材)をレイアウトして水質を弱酸性や弱アルカリ性に調整するのですが、以下のような後天的な要因で時間の経過とともにphは変化していきます。
①水が汚れた⇒弱酸性へ誘導される
②雨が降りこんだ⇒弱酸性へ誘導される
③グリーンウォーターになる⇒弱アルカリ性へ誘導される

ですから、定期的なphをチェックする必要があります。
可能であれば、確実なphチェックのために、phチェック用の試薬を持っておくと安心です。
【POINT3】水槽立ち上げ後にphを調整する方法
酸性に誘導したい場合

必要以上に水質が弱アルカリ性に傾く場合は、水質をアルカリ性に誘導している何か(レイアウト素材)を見つけて撤去するのが一番です。
石や岩・貝殻・砂利などを入れていませんか?
上記で変化がない場合で、一番簡単な方法は市販のph降下剤を使用する方法が簡単です。
アルカリ性に誘導したい場合

アルカリ性に誘導したい場合は、
①水質悪化で酸性に傾いている場合があるので、最初に考えるのは適切な水換え。
※亜硝酸や硝酸塩が増えると水質が酸性に傾きます。
②それでも酸性に傾く場合は、水槽内にソイルや赤玉土など水を酸性に誘導する素材がないかを確認し、それでもダメな場合は牡蠣殻を添加する方法が簡単です。

ここは絶対に覚えていてください!!
詳しい仕組みは、以下の記事を読んでいただきたいのですが、弱酸性の水をいきなり弱アルカリ性に誘導すると、急性のアンモニア中毒が発生する場合があります。
万が一のメダカの全滅を避けるため、牡蠣殻を投入する際は必ずアンモニア検査と水替えを行うほうが安全です。
最後に
最初にも述べましたがph調整と聞くとなんだか上級者の技のように感じる方も多いと思います。
でも実際は、人間が乾燥した時に加湿器を使って湿度を保つようなことなんです。
魚をより元気に育てるために、適切なph管理をお願い申し上げます。
この記事がみなさまのお役に立てると嬉しいです。